月に帰らない、かぐや姫

Episode20  学び合うことがある

月と地球の関係は変わりました。

あの地球への訪問のあと、月では数々の話し合いがもたれ、今後のかぐやへの対応が話し合われました。

その結果、地球への魅力を感じる人が、大変多かったのです。

今まで、誰も気が付いていませんでしたが、地球には素晴らしく感じられるものがたくさんありました。

かぐやが話してくれた空や太陽、生き物のこと、そして植物。地球はさらに広く、かぐやがまだ見たことのない絶景だってたくさんあります。地球に心惹かれる人が、たくさんたくさんできました。

大臣はこの動きに歯止めをかけることができませんでした。かぐやへの対応を話し合っていたはずの会議は、いつの間にか、地球との交流をいかにして図っていくかという議題に変わっていたのです。そして多数決の結果、地球との貿易を始めることが決まりました。

貿易先はもちろん、かぐやと帝が治める、平和な日のいずる国です。そしてかぐやと帝、国の人々は、月との交流が始まることを大いに歓迎しました。

すぐに月と地球を結ぶ定期便が作られ、宇宙船が活発に運行するようになりました。かぐやを地球に行かせてくれた、あの技術者の発明もやっと活きる場が与えられました。地球の人々は月に行くことができませんでしたから、代わりに月の人々が、珍しいおみやげをたくさんプレゼントしました。

月にたくさんの土が持ち込まれて、緑色の植物を育ててみようという試みが行われるようになりました。地球の木や、水や、動物たちと触れ合いたくて、たくさんの人たちが地球へ旅行にきました。

月からは、多くの便利な技術が持ち込まれました。

特殊な機械で、農業が明らかに進化しました! 月の技術を使うと、地球の植物はもっと大きく、もっと美味しく育つようになりました。この機械は地方の辺境まで伝わったので、全国で美味しい野菜がたくさん作られるようになりました。

乗り物の研究も盛んです。街道が整備されると、自動で目的地まで連れて行ってくれる車が大活躍しました。宮廷の一角では、空飛ぶ乗り物の研究も進められています。

「かぐやさま! みてみて!」

花柄の着物を着た子どもが、野原でのんびりしていたかぐやに近づいていきました。その子はまっすぐな金色の髪をしています。月の子どもでした。

近づいてきた彼女の手には、小さなカエルが優しく握られていました。かぐやは目を輝かせました。

「すごい! 自分で捕まえたの?」

「そうなの。これから一緒に泳ぐのよ」

言うが早いか、女の子は川に向かって走っていきます。丘を下ったところには川があり、近くの村の子どもたちと、金髪の月の子どもたちが、一緒になって遊んでいました。

かぐやは空を見上げて、春の土の匂いをかぎました。

「私たち、地球で暮らせるのね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わり