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十一月十四日  安請け合い

前の話

十一月十三日  思い出す事など
前の話  父は、機嫌が悪くなると溜息をつく人であった。(最近は余り機嫌を損ねない) 母が溜息を恐れているのを見てか、機嫌が悪い時の重い空気を感じ取ってか、私も自分の記憶が始まる頃には人の溜息に不安を覚えるようになっていた。 ...

 

 

病院に行ってから一週間が経ち、薬がなくなった。

というわけで、再び病院へ。

漢方薬が効いているかと聞かれ「はい」と答えると、先生は嬉しそうに、

「でしょー」

と頷いた。続けて、こんなことを言い出した。

「顎がね、喋りたくないって言ってるの。小さい頃、妹さんに『私がしゃべるから、あなたはいいの』とかって言われなかった?」

「……はあ」

記憶にない事を言われた。
無論、私とて起きたすべてを覚えているわけではないのだが。
この指摘には重大な誤りが含まれている。

「あの。自分、妹いないっす」

「じゃあ、お兄ちゃん?」

「一人っ子です」

「ああ。じゃあお友達だ」

先生は納得したようだが、私はピンとこなかった。

 

また、気持ちの落ち込みがひどいのでうつ病を疑っていることを述べると、先生は中待合にいた人たちをも集めてこんな感じの話をした。

「鬱ってないの。
心が落ちこむのはね、感謝が足りない病。
他のところでは鬱って診断して、薬漬けにしちゃう。
悪魔病だよ。
でも自分の心にいる神様に感謝していれば、治るよ」

 

薬漬けのくだりには全面的に賛同したが、他の話については初めて得た視点だったので、どう受け止めると良いのか分からなかった。

待合室で会計を待っていると、黒っぽい服を着た男の人が隣に座り、声を落として話しかけてきた。

「お姉さん。お姉さん。さっき、中待合で話を聞いていたんだけど……。
うつ病というか、そういう症状があるの?」

「はい。まあ……。気持ちの落ち込みがひどいというか」

「そうでしたか」

その人は思いの他柔らかい話し方をした。
そして、自身も一年前に鬱病と診断されたことや、無気力のあまり家から出られない時期もあったこと、もし症状が気になるのなら、心療内科など他の病院に行ったほうが良いことなどを、親身になって打ち明けてくれた。

 

一見、素っ気なく見える反応しかできなかったかもしれない。
しかし私は実際は驚いていた。
病院の待合室はある種電車やバスの中に似ていて、大勢の他人が集まっているのになんとなく静かである。
そんな中で知らない人に声をかけに行く、そして自分の体験を打ち明けてくれる。
かき集める勇気は一体、どれほどのものだったのだろう。
自分のためにその勇気を使って声をかけてくれたあの人には、重ねて感謝の意を伝えたいくらいだった。

と、同時に、この中々ない経験は、上の人からのお知らせなのだろうかと考えた。

 

病院に行ったそのままで、今度は同窓会の話し合いに向かう。
実は、私はそろそろ同窓会の役員を辞そうかと考えていた。
それを親身になってくれていた先輩に相談すると、「皇月さんの話を聞く会」と称して数人を集めたのである。

三、四時間ばかりもいろんな話をした。
結局、私は辞めないことにはなったのだが、今までよりも仕事量を減らすことを認めてもらった。

四つ上の先輩の方が私のことを良く分かっており、「この子頑張りすぎちゃう子なんです」と説明しているのを聞いた時、まるで他人のことのように、初めてそれに気づいた。

自分で言うのも難だが、頼まれればある程度のことはできる。
し、できるだけ完璧なものを提出しようと意気込む。
本当にできないことは断るし、そもそも回ってこないことが多い。

そして今までは、やってきたものはほとんどすべてを引き受けてきたのかな、と気付いた。
引き受け、しっかりやろうと思ったから、今のような状態に陥っているのではないか。

やると言ったからには、しっかり取り組まなければと思ってしまう。
何事にも全力を傾けてしまう。

しかし最近は、頭が回らないしよく物を忘れる。
これは私の作業量を減らすための制限か、あるいはこれが元々のスペックなのか? 

どちらにしろ、現状は種々の仕事がふくらみすぎている事実は変わらないだろう。

これを境に何でもかんでも引き受けないようにしよう、と固く心に決めた。

 

 

とりあえず、終わり

ひとまず完結です【あとがきに代えて】
こんにちは。スピリチュアル作家の皇月ノエルです。 1週間程度に渡り更新してきました拙著「顎とセンスがズレている」、ひとまず完結とさせていただくことにしました。[nlinkl url="↑リンク先に飛んでいただくと、各章が一覧になっ...
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