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十一月九日

前の話

十一月八日
前の話 「漢方、すごい効くなあ!」とノリノリで朝の薬を飲んだら、粉が喉の奥に張り付いてむせそうになった。粉薬は苦手だが、漢方薬は香り高くてちょっと美味しい。バイト先までの通勤中、いつもより体の調子が良い気がした。爪先まで血のめぐ...

 

 

今日は一段と陰鬱な日を過ごす事になってしまった。

まず、何をもってしてもやる気が出ない。
熱はないのだが体がだるく、風邪じゃないのに風邪っぽい。
午後になると眠くなり、薄暗くなるまでぐっすり眠ってしまった。犬と散歩に行く間も無かった。

ずるずると寝ている間にいろんな夢を見た。
特に印象的だったのは巨大な洋館にいる夢である。
私はそこの主人でも、使用人でも、はたまた係の人でもないのだが、なぜか館の中で行われる祝賀会の手配や準備で忙しくしていた。

その会は大部屋を二つも三つもつなげて行う大規模なもので、相当の人数が準備に関わっていたはずである。
私は祝賀会のごく一般的な準備の他に、屋敷の子どもがなくしたと言うぬいぐるみを探してあげたり、ベランダから侵入してこようとする輩を撃退したりしていた。私の夢には戦闘シーンがよく登場する。

開場の時間になるとすぐに大勢の出席者がやってきた。
顔ぶれを見るに、高校の吹奏楽部の集まりのようだ。
私は華やかな振袖を着た友達の姿を見つけて声をかけたが、ひどく無愛想な反応をされた。
現実ではもう少し親切にしてもらえることを祈りたい。

ここからは現実の話になるが、実際私は友達との接し方というか、距離感が分からない。
私だけが大学に進まなかったせいか、それとも単に大人数でわいわいするのに慣れていないせいか、みんなとの付き合い方が分からないのだ。
話が合わないのではないかと考えてしまう。
嫌われていないかどうか気にしてしまう。
そしていざ話しかけてもらえるととても嬉しいのに、勢い余ってこちらの方ばかり喋りすぎ、あとで一人反省会をしている。

もっと相手の話を聞けば良かった、印象が悪くなっていないだろうか?

なんともこの「人と話す」ことをさらなる苦行にしているのは、自分が相手に与えた印象を観測できないことである。
会話の後にいちいち「私のことどう思ってる? ちょっと喋りすぎたかな」などと問いただすことはできないし、優しい人であればどんな感想を抱いていようが、「全然悪い風に思っていないよ」と言ってくれるだろうからだ。要は、私は俗にいう「陰キャ」なのであろう。

それも、やろうと思えば愛想良く喋れる陰キャだ。
初対面での印象は良好かもしれないが、問題は二回目以降である。
そして、よく空気が読めない。うまく立ち回れなかった時のことを思い返しては、後から気づいた「正解」を口惜しく思う。

そして次に似たような場面に立たされたら、その時こそ正解に振る舞おうと固く誓うのである。

 

 

次話

十一月十日  時間が守れない
前の話  今朝はいささか気分よく始まった。午前中は父と映画を観に行くなどした。何度見てもクラリスは可愛い。幼い頃は「国連加盟国」だの「西ドイツ」だの分からなかったが、世界史を習うと多少のその辺の情勢と歴史に詳しくなれる。成長してか...
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