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現実と創作が混ざり合う幻想【『ニムロッド』読後感想※微ネタバレあり】

小説 -novels-
Image by cocoparisienne from Pixabay

こんにちは。皇月ノエルです。

芥川賞受賞作

私は芥川賞候補作に選ばれた『平成くん、さようなら』が大好き。

↓感想記事もあります

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だから『平成くん、さようなら』ではなく、『1R1分34秒』と『ニムロッド』が芥川賞に選ばれた時、その2冊も読んでみたくなりました。

と、いうわけで。読みました。『ニムロッド』

今日はその感想などを書ければと思います。

感想たち

究極の一人称

物語の大部分は、「僕」こと中本哲史の視点で進みます。

すごいのは、一人称の徹底ぶり。

「僕」には交際している人がいるのですが、彼女の心情や言葉にしない感情の動き、考えていることまで、すべて「僕」から見たものとして描写されてしまうのです。

私は、この境界線を失うような手法に驚きました。

こんな書き方して良いんだ……?

「僕」の主観が入った誤解とかは、考えなくて良いの……?

初めて見る書き方に、まごまごオロオロしていた感じ。

 

逆に私は、書きはじめの頃読んでもらっていた人から「視点」の大事さを指摘され続けていて、「誰から何が見えているのか」にすごく気を遣って創作することが多いです。

○○の視点からは、AとBが見えていて。

△△の視点からは、BとCが見えている。

○○はAを共有していないから、△△はまだAを知らなくて……。

という進行なのに、△△が急にAを知っているようなことを言いはじめたら、不自然になるよね? という。

だから『ニムロッド』は、今まで見たことのないもの。

 

とはいえ一読者としては、「僕」の洞察が正しいものとして受け入れる他ありません。

作者がそう書いているから。書かれていることは「僕の洞察」以外にないから。

結果、「僕の洞察」が正しいものになる。

ちょっと哲学的かもしれないけど、そんな不思議を感じました。

NAVERまとめが繋ぐ幻想と現実

ニムロッドこと荷室さんが描く小説は、作中で展開されていきながら、『ニムロッド』というこの本そのもののよう。

作中で重要なとっかかりとなるのが、実在するまとめサイトです。

これがあることで「実在しそう」という気持ちを起こされ、3人の人生が日本のどこかで本当に展開されているのではないか……と考えさせられます。

同時に、それでありながら、世界は霞か蜃気楼のように幻想的。

現実と創作世界が混ざり合う、なんとも不思議な読書体験をしました。

読者の好みの問題

……と、ここまでいろいろ書いてきておきながら。

正直に言うと、私はこの作品のおもしろさを掴み切れないでいます……。

 

私にとってなじみのないビットコインの話を理解するのに大変だったり、上に書いたような「登場人物の視点の問題」が気にかかったりして……。

確実に受け取ったことといえば「こんなに幻想的な小説もアリなんだ」ということ。

 

あるいは単純に、私が「物語を通して、主人公の心情に変化がある物語」が好きなだけかもしれません。

その点で好みの話をすれば、私は『1R1分34秒』の方が好きだし、

『平成くん、さようなら』と『ニムロッド』は、主人公はどちらかとういと傍観者・観察者的に見えてしまってつまらない部分があるな、と感じてしまいます。

「周りでいろんな人がいろんなことやってるのに、そんなに冷静でいられるの!?」みたいな。

もっと動揺したり、内観したり、いろいろ考えたりしないの!? と。

 

とはいえ、それが作品の良さを減じるわけではないというか、「だから、ダメ」というつもりはなく。

私の大好きな『水と礫』も、「東京」と「砂漠」が混ざり合う幻想的な世界観ですが、私はこの物語がめちゃくちゃ好き。

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だから、好みって一概に言えるとも思っておらず。

Amazonの書評や感想サイトを見れば、『ニムロッド』を高く評価している人もいるから、本にも当然に向き・不向きがあるんだと思います。

人と人に合う・合わないがあるのと同じなんじゃないかな。

私は「自分に合わないから、ダメ」とするつもりはなく、むしろ「良い話だろうに、良さが分からない自分ですみません」「こういうスタイルの作品もアリなんだと、視野を広げてもらいました」という気持ち。

 

リアルを描いた作品は共感性とともに印象に残るし、

幻想的な世界観の作品は、その世界観ゆえに印象に残る。

 

私もそういう世界観を持ちたいな、と思いました。

 

関連:芥川賞シリーズ

文学を学ばせていただくつもりで、芥川賞を受賞した作品・ノミネートされた作品をいろいろ読んでいます。

以前は「芥川賞って難しいもの」という先入観を勝手に抱いていたのですが、読んでみると一概にそう言うこともできず。

気になったタイトルがあったら、気軽に挑戦してみるのも楽しいかもしれません(^^)

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