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マナーとエチケットの移り変わり――礼儀ってなんだろう【村上リコ著『英国社交界ガイド』感想など】

本の話 -books-
Image by Terri Cnudde from Pixabay

こんにちは。皇月ノエルです。

19世紀イギリスの社交界をのぞき見る!

小説を書き進める上で勉強したい!と思って、こちらの本を手に取りました。

村上リコさん著『英国社交界ガイド』(河出書房新社)です。

そもそも私が何を知りたかったかというと、舞踏会の空気感や、招待状の出し方などです。

貴族たちの間には派閥があっただろうし、現代とは違う皮肉の利いた会話があっただろうし、今とは違う礼儀作法があったことでしょう。

それらの「リアル感」を自分の作品にもたらしたくて、自前の知識だけでは力不足で。

一度執筆の手を止めたわけです。

 

社交界デビューの当事者になったつもりで

この本は、「あなたが社交界デビューすることになったとしたら」という視点で構成されています。

文中にも時折「もし、あなたが○○するとしたら」という表現が出てきて、引き込まれる作り。

「自分ごと」として読み進められるので、時代を隔てた内容も頭に入りやすいです。

 

また、本の構成自体が、当時発刊されていた「エチケットブック」に沿っているとのことで、礼儀作法についてと、当時の礼儀作法の本についての知識を同時に得ることができちゃうお得な本です。

 

本から学んだことなど

まず「社交界」とは?

10ページのコラムには驚かされました。

「社交界」という言葉の定義から問われたからです。

今までそんな問いを投げられたことなどなく、改めて考える良い機会になりました。

 

私が抱いていた「社交界」という言葉のイメージは、

  • 王族、貴族、またはそれに準ずる人々が集まること、空間
  • 舞踏会や正餐会のこと
  • パーティーで交わされる会話
  • 上に挙げた人々が作る特定のグループや派閥

のことなのかなと、漠然と捉えていました。

 

まず、言語化して具体的に意味を考えたことがなかった。

上の4つは本を通読したからこそ言葉にできているのであって、読み始めた時ならば自分のイメージを上手く表現できなかったでしょう。

本を読んだことで、「社交界とは何か」「どんな人々が構成するのか」「どんな空気感なのか」が、より具体的に理解できた気がします。

「エチケット」と「マナー」の違い

現在、「エチケット」と「マナー」という2つの言葉は、ほとんど似た意味で使われているように思います。

しかし、あえて2種類の言葉がある通り、これらの言葉は違ったニュアンスを持っていたようです。

「エチケット」と「マナー」が持つニュアンスの違いが、本の中で解説されています。

 

実は「エレガント(elegant)」と「グレース(grace)」も違うニュアンスを持つ言葉。

「エチケット」と「マナー」の違いを知り、似たような衝撃を覚えました。

よく考えれば……そっか。

言葉が2種類(あるいは、それ以上)あることには、意味があるんだ。

言葉の深みって面白いです。

 

壁付けテーブルの意味

私にとって、最大とも言える印象的なエピソード。

コンソールテーブルの生まれた理由。

インテリアが好きで、前からコンソールテーブルというものに「お洒落だな」「かっこいいな」という憧れを持っていました。(↓こういうの)

要は丸テーブルを半分にしたような形で、壁につけて置くことができる、奥行きの浅いテーブルのこと。

上は猫脚で「貴族! お屋敷!」っていうデザインですが、最近は北欧チックだったり、よりシンプルなデザインのものもあるらしいですね。

かっこいい。

さて、予期していなかったところで社交界の話が憧れのコンソールテーブルに繋がり、私は驚きのあまり本を放り出しそうに。

それくらいの衝撃だったんです。

「そこに繋がるの!? そういう使い方されてたの!?」という。

 

お洒落なコンソールが玄関に置いてあることが多いのは、単なる飾りではなかったのですね……。

そして、さらにコンソールの上に小物を置いてフェイントさえかけられており、英国社交界は非常に難しい。

「理解しきれねぇよ……」と、当事者になったつもりでひるんでしまいました。

 

過去から現代を見る――人間を縛る「マナー」ってなんだろう

複雑なマナーは貴族たちの威厳を守ると同時に、時代と共に移り変わっていきました。

「伝統」「古くから伝わってきたもの」が現代にも多くありますが、それらも昔の形を完璧に保っているように見えて、実は少しずつ形を変えているのかもしれません。

『英国社交界ガイド』を読んでいると、翻って現代のマナーの在り方についても考えさせられます。

礼儀があることによって円滑になることもあれば、複雑な礼儀や暗黙の了解が、逆に人間を縛ることもあります。

 

社交界での権威が落ちることを恐れて、仕事に就けない女性が多かったとか。

コルセットが人間の骨格に悪影響だったとか。

「強い男性性」を打ち出し過ぎて、男性の悩みを打ち明けられる場所が狭まったりとか。

リモート会議の上座と下座を気にしなくちゃいけなくなったりとか。(めんどくさっ!)

 

エチケットの目的はいろいろあるはずで、礼儀とは「手段」に過ぎなかったはず。

相手に敬意を示すための手段。

相手を不快にさせないための手段。

自分の教養を示すための手段。

ところが過剰な礼儀作法が、どこかで逆転して「目的」になっているのでは?

人に悪く言われないために、マナーを守る。

マナーに沿うために、マナーを守る。

礼儀作法が絶対のルールのように見なされて、「こうでなければならない」「従わない人はおかしい」と、人を盲目にしていくことだってあるかもしれません。

 

また、時代や流行と共に移り変わるエチケットの変遷を読んでいくと、

「これが正しい! って思いこまされていることも、時代が変われば形を変えていくんだな。絶対なんてないのかも」と、少し広い視野を手に入れられる気がします。

 

小説に活かしたいから少し勉強するつもりが、期待以上に大きな気づきを得られました。

 

関連:村上リコさん訳のためになる本

村上リコさんに関連して、こちらの本もおすすめ!

シャーン・エヴァンズ著 村上リコ訳『メイドと執事の文化誌』(原書房)です。

ハードカバーで、おそらく専門書の部類に入る本ではないでしょうか。

しかし、英国の貴族文化に興味のある人はぜひご一読することをおすすめします。

特に、『黒執事』が好きな人にはますますおすすめ!

村上リコさんは、アニメ『黒執事』にも関わっておられますしね(^_^)

 

『メイドと執事の文化誌』を読んだうえで『黒執事』を読む(ないし観る)と、セバスチャンがいかに有能で人並外れているかがよく分かります。

よくタナカさんは怪しまないなぁ……(笑)。

 

実は最初に『メイドと執事の文化誌』を読んだ時、あまりにも面白すぎて5周くらいしました!

その後も知識の復習をしたい時に本棚から取り出しては、もう一回、またもう一回と読み直しています。

人生で一番読み返した専門書です。

それくらい面白い。

写真や絵、当時の刊行物からの引用も多く、当時の使用人たちの息遣いが感じられる一冊です。

 

Thank you for your reading!
I wish you all the best!

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